ストレッチは本当に必要なの?ストレッチの重要性について解説。

ストレッチに関する質問は多く寄せられます。やり方や方法を聞かれることも多いですが、中でも1番は「ストレッチってそもそも何?」「効果はあるの?」「必要なの?」という質問です。やり方や方法を知っていても「なぜ必要なのか」について知らない方もいるため、今回はストレッチを行う目的、そして効果について解説していきます。ストレッチの重要性を少しでも理解し、ぜひ日常生活に取りいてみて下さい。

ストレッチってやった方がいいの?そもそも何?

ストレッチやった方が良いと言われるけど、効果は?

このような質問をよく聞きます。
結論から言いますと、

「みなさん、、、やった方がいい。」 になります。

怪我や病気を持たれている方は医師やリハビリの先生による指導が必要となりますが、それに該当しなければストレッチは日々の習慣に取り入れることをおすすめします。

では、「なぜ必要なのか」について「目的」から説明していきます。

目次

ストレッチの目的

ストレッチは、体の調整(コンディショニング)、リハビリ(病気や怪我からの回復)、怪我・痛みの予防(障害予防)の三つを主な目的として行われており、この背景には、ストレッチによる筋肉の緊張緩和、関節可動域(動かせる範囲)の増大、血流の促進による疲労物質除去などの生理学的効果があります。

多くの方にストレッチを習慣化することをお勧めしますが、特にやった方がいい人は以下の方になります。

・デスクワーク中心の人
・運動習慣のない人
・肩、腰の痛い人
・スポーツをする人
・登山をされる人、、、

このようにあげていくとキリが無く、結局は全ての人がストレッチを行うメリットがあるという結論になります。
(※「全ての人に該当し、その方に応じてやり方や部位が変わってくる」といった結論がよいかも知れません。)

人それぞれ、ストレッチする部位・疲労が溜まりやすい部位は異なるため、「ここをやりなさい」ということは断言できませんが、上記に該当する方で特徴的に疲労が溜まりやすい部位は以下が考えられます。

・デスクワーク中心の人・・・肩、肩甲骨周囲、首、背中、腰
・運動習慣のない人・・・全身
・肩、腰の痛い人・・・肩、背中、腰、臀部、脚
・スポーツをする人・・・競技によってよく使う筋、個人的に疲労が溜まりやすい筋
・登山をされる人・・・肩周り、下半身

似ている部分もありますが、人それぞれ生活環境、競技に応じて重点的に行うポイントが異なってきます。

もう少し「目的」を深ぼってみます。

上記に主な目的3つを挙げましたが、それらの項目はどちらかというとアスリートの方が「パフォーマンス向上」を目的とする内容になっていました。もちろん一般の方が目的にする内容でも構いませんが、少し内容を変えて一般の人に落とし込んでみると ①疲労回復  ②柔軟性の向上  ③ウォーミングアップ、クーリングダウン を目的にすることが多くなります。
また、慢性的な痛みを抱えている方にはストレッチはお勧めの可能性があります。

これら3つの目的に対して詳しく説明していきます。

①疲労回復として

運動は筋が伸び縮みすることによって起こります。筋は筋線維の集合体であり、筋線維が収縮することで張力が発生しています。筋が縮んでいる時、周囲の血管は押しつぶされて血流が阻止されますが、筋が緩むと血流が回復して酸素が筋へ運ばれます。ところが、長時間繰り返し筋線維が縮んでいると、筋はもとの長さに戻る性質(弾性)を失ってしまい、より縮こまって硬くなります。硬くなった状態(硬縮)で周囲の血管を圧迫すると血行不良となり、筋は十分な酸素が運ばなくなります。その結果、代謝産物として乳酸(にゅうさん)が蓄積し、筋活動が阻害され、いわゆる筋疲労の状態に陥ってしまいます。そこで、硬縮した筋をもとの長さに戻してあげることで血液循環を促し、乳酸除去を早め疲労回復をはかるためにストレッチを行います。

柔軟性の向上(関節可動域の拡大)として

柔軟性とは、一般に、関節を動かせる範囲、すなわち関節の可動性(関節可動域)を意味します。関節可動域は、関節を構成する骨の構造と関節にまたがる軟部組織(筋組織、腱組織、結合組織、靭帯など)の伸展性によって決まります。骨の構造は変えることができませんが、軟部組織の柔軟性はストレッチで高めることが可能です。ただし、靭帯が伸ばされると、むしろ関節が不安定になり、傷害を生じやすくなるので、関節可動域を広げるためには筋や腱をゆっくり伸張することが必要です。筋や腱組織が硬いと関節の可動域が制限され、からだを大きく動かすことができない上、怪我の発生原因にもなりうります。ストレッチを行うことで、筋や腱の伸張性が増して関節可動域が広がれば、スポーツのパフォーマンス向上、日常生活の疲れ、痛みの軽減につながります。

ウォーミングアップあるいはクーリングダウンとして

ウォーミングアップの中でストレッチを行う意義は①関節や筋がスムーズに動くようにすること、②運動神経と筋との供応能を高めて強い運動や速い運動にも対応できるようにすること、③筋の縮む(収縮)・緩む(弛緩)を繰り返すことで血液循環を促進すること、④次の主運動に向けて身体と心の準備をすること、などがあげられます。ウォーミングアップでストレッチを実施することにより怪我のリスクを下げることができるかどうかは不明確で、むしろ体が冷えた状態でいきなり静的ストレッチを行うと、筋や腱などを痛める危険性があるため、注意を要します。さらに、静的ストレッチは筋温上昇をもたらさず、筋力やパワーの発揮が必要な運動の前に行うと筋を緩ませてしまいます。そこでウォーミングアップでは軽い全身運動を行い身体を緩めてから、10秒程度の保持時間の短い静的ストレッチングを行うか、もしくはコントロールされた動的ストレッチンを行う方が良いです。クーリングダウンでストレッチングを行っても、運動後遅発性筋肉痛は軽減しないことが報告されていますが、使った筋をほぐして疲労回復を促し、リラクゼーションするために静的ストレッチングを取り入れることは有効です。主運動の後で身体が緩まっているので、関節可動域の拡大を目指した少し強い静的ストレッチングを行うのに適しています。

「目的」の解説の中で静的ストレッチ、動的ストレッチという2種類のストレッチ方法が出てきました。
場面、目的に応じてストレッチ方法が異なるため、以下にもう一度まとめておきます。

静的ストレッチ

反動をつけずに筋を伸ばす姿勢を20秒間程度保持するストレッチ。柔軟性向上、痛みの改善、血液循環改善などを目的として行います。お風呂上がり、運動後に行うことが一般です。

動的ストレッチ

動きの動作の中で伸ばしていくストレッチ。(反動をつけて行うストレッチも含まれます)ラジオ体操も言うなれば動的ストレッチです。動作の円滑化、可動域の拡大などを目的として行います。準備運動、試合前など「これから動くぞ!」という時に行います。

種類説明場面、人物
静的ストレッチ反動をつけずに筋を伸ばすストレッチ・お風呂上がり、運動後・デスクワーカー・運動習慣のない人・慢性的な痛みに悩んでる方・ピリピリしている方  etc..
動的ストレッチ動きの動作の中で伸ばしていくストレッチ・準備運動、試合前・試合前のアスリート・ランニング前のウォーミングアップ etc..

以上がストレッチを行う目的になります。医療機関やスポーツ現場でよく行われるストレッチですが、このような目的があって実施されており、日常生活にも取り入れたい内容が詰まっていたと思います。「目的」の中に効果の説明も書かれていましたが、改めてストレッチの効果を以下にまとめました。

ストレッチの効果

ストレッチの効果

ストレッチを行うことにより、以下のような効果が期待できます。

・筋緊張を緩ませる。
・関節周囲の筋や腱の伸展性を高め、関節可動域を広げる。
・血液循環を促して筋への酸素供給や老廃物の除去を早め、疲労回復に役立。
・動かす筋肉の協調性を高め、動作を円滑に行うことにつながる。  etc…


このような効果がもたらされ、また、パートナーの補助による静的ストレッチは、リラックス効果(大脳のα波を増加させる効果)があることが示されています。スポーツ活動では筋肉の疲労はもちろん蓄積されていきますが、日常生活においても、同じ身体活動あるいは同じ姿勢を長時間続けていることは、筋が過緊張し、血液循環の低下に繋がってしまいます。現代人の肩こりや腰痛はこのような局所の筋疲労、血液循環の低下からきていることが多いため、日常生活の中で生じる筋緊張を和らげ、局所の凝りや疲れを取り除くためにも、ストレッチは有効と考えられます。

やり方や方法に関しては今回の記事で説明しませんが、ここまでで目的や効果を説明してきました。以上の内容がストレッチを行った方が理由にもなるため、実践する際は目的意識と効果を実感しながら取り組んでみて下さい。

ちょっと待って。実際どの程度ストレッチした方がいいの?

そう思われた方もいると思います。「目的」のところで説明したように、ストレッチをかける部位は人それぞれの活動内容、生活習慣で変わってきます。場面ごとに変わることもありますが、今回は一般的に言われている「ストレッチの実際」について最後説明していきたいと思います。

注意点も踏まえて確認していきましょう。

ストレッチの実際(一般的に行うストレッチ)


種類:大きな関節(股・腰・膝・肩など)に対する静的ストレッチングを軽い不快感を感じる程度に行う。
                                   (痛いと思う手前。)

時間:20秒程度保持する。各筋群に対し、2回以上繰り返す。

頻度:最低週に2、3回。お風呂上がりや運動後に行います。朝の体調管理として行うのもお勧めです。また、スポーツをされる方はウォーミングアップやクーリングダウンに必ず加えるようにしましょう。

ストレッチング実施上のポイントと注意点

1 伸ばしたい筋を緊張させないよう、できるだけ脱力することが大切です。

2 冬季に寒い場所でストレッチを行わなければならない時は、特に注意が必要です。あらかじめ数分間の軽い全身運動を行い体を温めてからストレッチを行うようにします。日常生活の中では、入浴後などに行うと効果的です。

3 強い痛みを感じない範囲で最大限に伸ばした状態を10秒~30秒間保つ。

4 筋を伸ばしていく時、ゆっくりと息を吐くようにするとリラックスしやすいです。姿勢を保持している間は自然な呼吸を繰り返しましょう。息は止めてしまう方がいますので、無呼吸にならないよう注意です。

5 立位より、床に座った状態や横になった状態で行う方が安定した姿勢をとりやすく、意識して伸ばすことができます。

6 慣れないうちは、どの部位をストレッチしているのか分からずに姿勢だけ真似してしまうことがありますが、どの部分のストレッチなのか確認しながら行います。どこが伸ばされているか意識して行うと、ストレッチ効果が高まるだけでなく、神経−筋の促通がよくなります。

7 関節可動域は個人差、部位差が大きいので、同じ姿勢をとってもストレッチ感が得られる人とそうでない人がいます。自分にとって心地よい張りが得られる姿勢を見つけることが大切です。(他人と比較しない。)

8 まずは、全身の主要な筋のストレッチを行い、特定のスポーツを実施する(実施した)場合には、そのスポーツでよく使う(使った)筋を重点的に伸ばします。

9 はじめは10秒間程度の楽なストレッチを行い、それから少し強く伸ばして30秒程度保持する。いきなり、柔軟性に優れた人と同じ姿勢をとろうとせず、自分が楽に出来そうな姿勢から広げていくようにします。柔軟性が乏しいために姿勢保持がつらい場合は、椅子やタオルなどの補助具を利用すると効果的です。

以上の9つの注意点を守って安全にストレッチを行うことが、ご自身のカラダの状態を常に良くしてくれます。ストレッチはお金をかけず誰もが簡単に行える健康法だと感じます。1日で効果を実感することはないため、まずは1週間。疲れが溜まっている部位のストレッチを行ってみてください。ながらストレッチでも構わないので、まずは実践してみて下さい。方法は静的ストレッチです。やってみましょう。

まとめ

ここまでストレッチについて深ぼってきました。説明したように「なぜストレッチを行った方がいい」かについて少し理解が深まったのではないでしょうか。病院の先生、接骨院の先生、パーソナルトレーナーがよく言うことも納得いきます。

「習慣化」は何においても難しいことですが、ストレッチは習慣化の第一歩として非常におすすめです。

やらないよりやった方が良い、セルフマネジメントにも活用できるため、日常生活に是非取り入れてみて下さい。

健康な状態を少しでも保っていきましょう。

押さえておくと面白い脳と筋肉の関係 自律神経も重要。(今後別の記事で説明。)

骨格筋の緊張(筋緊張)
筋肉は、ある程度の緊張(トーヌス)をもっています。この緊張は筋の持つ弾性・粘性のような物理的化学的性質による場合と、神経性の場合とがあり、神経性の場合には、脳からの遠心性情報による場合と、求心性情報によって起こる反射性反応による場合とがあります。
筋緊張は主に姿勢保持機能に関与していて、例えばゆったりと座っていても、その手足は完全な受動的状態におかれてはおらず、一定の緊張を保ちます。姿勢は個々の筋緊張の相対的な強度によって決まり、筋緊張の際に産熱が起こるので、体温調節にも役立ちます。

以上でストレッチの解説は以上になります。今回まとめた以外でもう少し簡潔にまとめた内容も記事にしましたので、分かりづらかったという方はそちらの記事も参考にしてみてください。

1人でも多くの方がストレッチを習慣化し、健康な状態を保つことに繋がれば大変嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次